株主の皆様へ
株主の皆様には、日頃より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、国際情勢の不安定化や海外経済の減速に加えエネルギー価格や原材料価格の高止まりなど不確実性が高まる一方、社会・経済活動の正常化が一段と進む中、サービス消費やインバウンド需要の伸長などにより、緩やかな回復基調で推移いたしました。
当社グループの主要な事業にあたる輸送業界では、特に建設関連貨物や消費関連貨物が低調に推移する中、原油および原材料価格の高騰や2024年問題への対応もあり、企業活動を取り巻く環境は厳しい状況が続きました。
このような状況におきまして、当社グループは、成長と適切な資本政策によるPBR1倍超の早期実現に向けてROE8.0%以上を目指すため、「中長期の経営の方向性~ありたい姿とロードマップ 2028~」を策定しました。これに基づき、事業基盤である特積み輸送の優位性を確保しつつ効率化の推進と安定的な成長を図り、またお客様の総合窓口となるべくロジスティクスおよび貸切輸送を成長エンジンに高利益体質へとシフトするなど、成長性、収益性、資本効率のバランスが取れた施策を展開してまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は6,428億11百万円(前連結会計年度比1.8%増)、営業利益は234億3百万円(前連結会計年度比17.9%減)、経常利益は244億96百万円(前連結会計年度比25.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は145億61百万円(前連結会計年度比23.4%減)となりました。
輸送事業
当事業におきましては、ロードマップ2028のもと、主力である特積み輸送では、全国をカバーする路線網に加え数多くの拠点や人材を有する強みを活かし、長距離・高重量帯を中心に適正運賃収受に努めるとともに、新規荷主の積極的な開拓を実施するなど取扱貨物量の確保に努め、成長と収益性の改善を図ってまいりました。
輸送事業の中核会社である西濃運輸株式会社では、関東西濃運輸株式会社、濃飛西濃運輸株式会社および東海西濃運輸株式会社を2023年4月1日付で吸収合併し、運行便の効率化を加速させ、中継拠点や集約拠点の見直し、低積載の解消、取扱貨物量に相関した運行体制への刷新などを図ってまいりました。また、収入・取扱貨物量に相関した費用管理をショートインターバルで検証し、成果に繋げてまいりました。その他、Green物流の実現に向け、O.P.P.カンガルー便の積極的な展開を図るとともに、トナミ運輸株式会社と石川県金沢市・愛知県岡崎市において、それぞれ共同配送を開始しております。加えて、日本初の水素燃料電池(FC)大型トラックの実証実験を開始するとともに、水素燃料電池(FC)小型トラックや電気(EV)小型トラックを導入しております。
拠点展開では、西濃運輸株式会社の松戸支店(千葉県流山市)および京都支店(京都市伏見区)の移転、新木場物流倉庫(東京都江東区)、厚木物流倉庫(神奈川県愛甲郡)、岐阜羽島ロジスティクスセンター(岐阜県羽島市)および九州向け中継輸送の専門店となる北大阪ハブ(大阪府茨木市)の新設、セイノースーパーエクスプレス株式会社富山営業所(富山市)の移転を行い、ロジスティクスインフラの増強や中継業務の効率化による収益の拡大を図っております。
この結果、売上高は4,702億37百万円(前連結会計年度比0.9%減)、営業利益は152億73百万円(前連結会計年度比30.2%減)となりました。
自動車販売事業
乗用車販売におきましては、半導体不足に伴う供給制限から生産が回復傾向となったことから新車販売台数は第3四半期までは伸長しましたが、メーカーの認証不正の影響もあり、第4四半期の販売台数は減少に転じたものの、通期では新車販売台数は前年実績を大きく上回りました。中古車販売でも、新車販売増加による下取り車の増加もあり卸売りが好調に推移し、販売台数は前年実績を大きく上回りました。また、車検・点検・整備・修理などのアフターサービスにも注力してまいりました。なお、お客様満足度の向上はもとより、営業担当者やサービスメカニックの定着・採用に資する従業員満足度の向上のために投資をしております。
トラック販売におきましては、メーカーのエンジン認証不正問題による出荷停止の影響があったものの、一部車型の出荷再開もあり、大型車や中型車の販売が好調に推移し、新車販売台数は前年実績を上回る結果となりました。また、中古車販売においても前年の販売台数を上回りました。
拠点展開では、トヨタカローラネッツ岐阜株式会社において鏡島店(岐阜市)を統合するなど、店舗網の効率化を行っております。
この結果、売上高は1,086億63百万円(前連結会計年度比15.3%増)、営業利益は58億8百万円(前連結会計年度比23.3%増)となりました。
物品販売事業
物品販売事業におきましては、燃料や紙・紙製品に代表される物品の販売を行っております。
特に家庭紙販売が好調に推移し、燃料販売における販売単価の上昇も加わり、売上高は357億47百万円(前連結会計年度比6.7%増)、営業利益は9億48百万円(前連結会計年度比18.5%増)となりました。
不動産賃貸事業
不動産賃貸事業におきましては、所有する土地および跡地利用において、ポテンシャルを最大限に活かし、地域において利用価値が高い事業へのトランスフォームを進めております。
その結果、売上高は22億46百万円(前連結会計年度比2.5%増)、営業利益は16億48百万円(前連結会計年度比2.1%増)となりました。
その他
当事業におきましては、情報関連事業、住宅販売業、建築工事請負業および労働者派遣業などを行っております。売上高は259億17百万円(前連結会計年度比3.6%減)となりましたが、営業利益は13億94百万円(前連結会計年度比18.8%増)となりました。
わが国経済の今後の見通しは、雇用・所得環境が改善する中、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されております。一方で、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクや、物価上昇、中東地域をめぐる情勢など懸念材料もあり、依然として不透明な状況が続くと予想されております。
当社グループの主要な事業にあたる輸送業界におきましては、高齢化、労働人口減少が加速し、2024年問題もあって、商品を運べなくなるリスクの発生が想定されます。
このような情勢において、輸送事業では、ロードマップ2028の目標達成に向けて2年目である今年度は、昨年度に引き続き、自社のみの最適化ではなく、オープン・パブリック・プラットフォーム(O.P.P.)による他社との連携や協業を推進してまいります。具体的には、当社の特積み全国ネットワークによる圧倒的かつ安定した輸送力を持つ強みを生かし、優位性が異なる同業他社とのO.P.P.や非効率な地域を補完し合うO.P.P.を通じて、お客様の利便性向上や物流業界の配送効率向上につなげてまいります。
また、ロジのセイノーを加速させるとともに、注力分野である貸切事業を強化するためハコベル株式会社との協業を深化させてまいります。
その他、2024年4月に、ラストワンマイル関連事業の意思決定の迅速化や効率化を図るため事業会社6社を統括するセイノーラストワンマイル株式会社を発足させ、また神奈川県下のラストワンマイル配送に強みを持つ日祐株式会社(横浜市)を子会社化しております。
自動車販売事業の乗用車販売では、顧客満足度向上に向けた継続的な店舗・サービス工場のリニューアルや商圏分析をもとにした拠点の新設を行うとともに、拠点の統廃合による店舗網の最適化などにより効率化も並行して行ってまいります。また、働き方改革や環境整備により利益率の高いサービス部門を担う整備士の採用・育成に努めてまいります。
トラック販売では、供給制限の緩和や出荷再開により、お客様のご要望に応じた対応が可能となるため、新車販売はもとより中古車販売、リース、保険等の金融商品の販売も合わせて、増販を目指してまいります。加えて、車検・定期点検の早期入庫誘致による台数確保と修理業者等への部品拡販により、収益の確保に努めてまいります。その他、先進整備機器導入などによりES向上を図り、乗用車販売と同様に整備士の定着・採用に繋げてまいります。
物品販売事業、不動産賃貸事業およびその他では、事業領域の拡大や既存事業強化を実施してまいります。
当社グループの経営理念である「会社を発展させ、従業員を幸福にする」のもと、「働く人が誇りを持てる、魅力ある企業」を造り、お客様、協業先様、社会、環境そして従業員家族の未来と幸せに貢献することで、更なる成長を目指してまいります。
株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
令和6年6月
代表取締役社長 田口 義隆
代表取締役 田口 隆男